爆弾づくり容疑者が逃亡
テロが再び懸念されているのには、22日の朝にイブラヒム容疑者とともに空港に現れた第三の容疑者が逃亡していることもある。同容疑者はナジム・ラシュラウイというシリア帰りの男。ISで爆弾づくりを習得したといわれ、パリのテロで現場に残されていた自爆ベルトからラシュラウイのDNAが検出されている。
ラシュラウイは昨年9月、パリ事件の生き残り犯アブデスラムとハンガリーに一緒にいたことが判明しており、パリのテロや今回のブリュッセルのテロで爆弾を製造した疑いが強く、両事件のカギを握る重要な人物だ。空港で自爆した兄弟とともに爆弾を爆発させようとしたが、起爆がうまくいかず逃亡したものと見られている。
しかし空港での警備・警戒のやり方が今回のテロで見直しを迫られることは必死だ。治安当局はこれまで空港の手荷物の検査システムに膨大なカネをかけてきたが、今回のようにチェックイン・カウンターの近くで自爆攻撃を仕掛けられるとなすすべがない。
チェックイン・カウンターへのアクセスなど空港全体の安全システムを検討する必要があるが、「過激派の象徴であるあご髭を生やしているだけでテロリストの疑いはかけられない」(治安筋)という状況の中で、早くも警備の限界を指摘する声も上がっている。
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