2024年7月22日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年5月12日

 スーチーは5年の任期を文民政府の権限強化に使うだろう。経済を成長させられれば、スーチーの助けになるだろう。しかし、彼女は米国の強い支持を必要とする。軍事政権に制裁を課した議会、軍事政権を自由化に向かわせたオバマはティンチョウの就任実現に功績があったと言えるが、次は新しい政府に力を与えるようにしなければならない。

出典:‘The day ‘all of Burma smiled’’(Washington Post, April 2, 2016)
https://www.washingtonpost.com/opinions/when-all-of-burma-smiled/2016/04/02/03e24a5c-f82a-11e5-a3ce-f06b5ba21f33_story.html

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 この社説は、新政権は成立したが、軍が自分の権力を残すために色々な仕掛けを憲法上にしており、スーチー女史中心の文民政権、NLD政権の今後には多くの困難があることを指摘しています。その通りです。ミャンマーの民主化はまだ確立の途上にあります。米国も日本もASEAN諸国もそのことを意識して、新政権を応援していく必要があります。

期待かかるスーチーの判断

 国家顧問職の新設については、助言ということで、副大統領や国防相、内務相、国境問題相の上に立って指揮しうることになり、憲法違反であると軍が反発していますが、4月6日にはNLD側がそれを新設する法を議会で通し、同日にスーチー女史がそのポストに就任しました。軍が今後どう対応するのか、まだ分かりません。ただ、選挙で大勝したNLD側の構想を軍が強引につぶすことは難しいのではないでしょうか。最初の新政権と軍の衝突がどうなるか、注視すべきではありますが、国家顧問創設が憲法違反との主張は論理的には、成り立ちにくいでしょう。

 現在の憲法は、その成り立ちに問題がありますが、スーチー、NLD側としては、とりあえずは憲法尊重の姿勢を示し、必要な改正を提案していくのが良いと思われます。

 新政権として、今の民主化のモメンタムを活用して色々な問題をNLDに有利なように早く処理していくべきか、ゆっくりと自分の権力を固めるようにすべきかは難しい判断です。スーチー女史が適切な政治的判断をしていくのを期待するということになるでしょう。

 日本としては、新政権を経済面で支援していくことが、新政権を勇気づける道であると思われます。

 ミャンマーの民主化の過程は今後紆余曲折があるでしょう。しかし、物事が一方向に動き始めたときには、慣性の法則のようなものが働き、その動きは持続すると考えて間違いはないのではないでしょうか。

  
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