2024年5月12日(日)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2009年12月9日

 実際、中国は日本の動きにも敏感だ。先の自衛隊の与那国駐屯に関するニュースでも日本のメディアが選挙報道に熱中しほとんど無視したのに対し、中国では夥しい報道がなされネット世論も激しく反発したのである。

このままでは沖縄が中国に乗っ取られる?

 こうした状況のなか、気になる変化が沖縄で見られ始めている。11月8日の2万人集会で喜納昌吉参議院議員が『自決権を主張する』と民主党入りしてから封印してきた沖縄独立に言及。その周囲では米軍基地を追い出して中国からの投資を呼び込もうという動きも始まっているのだ。これが将来どれほど大きな混乱の芽となるのかについて、問題に火を点けた当の民主党には自覚が薄い。そのことは岡田外相と会談した伊波洋一宜野湾市長が「(岡田外相は)何も解っていない」と涙目で語った言葉に集約されている。

 日本政府は、こうした現実を踏まえ、改めて沖縄へのケアを考え直す必要がある。と同時に、これ以上、沖縄を孤立させるようなことをしてはならない。

 政権交代によって日本は、初めて民主主義が機能したと言われた。もちろん機能しなかったことは問題かもしれない。だが、使い方次第で最悪のシステムにもなる民主主義の愚かな側面を日々見せられることも、やはり同じくらいつらいことである。

 

※次回の更新は、12月16日(水)を予定しております。

◆本連載について
めまぐるしい変貌を遂げる中国。日々さまざまなニュースが飛び込んできますが、そのニュースをどう捉え、どう見ておくべきかを、新進気鋭のジャーナリスト や研究者がリアルタイムで提示します。政治・経済・軍事・社会問題・文化などあらゆる視点から、リレー形式で展開する中国時評です。
◆執筆者
富坂聰氏、石平氏、有本香氏(以上3名はジャーナリスト)
城山英巳氏(時事通信社外信部記者)、平野聡氏(東京大学准教授)
◆更新 : 毎週水曜

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