百年レストラン 「ひととき」より

2016年5月21日

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洋食なのに、ふぐも出てくる

ソムリエでもある洋史さんが持つのは、なんと67年のバローロ。「イタリアワインを得意とする知り合いから入手できました。2万円くらいでお出しします」

 洋史さんは47歳の時に一念発起して、調理師学校に通い始めた。

 「同じ学校に通う20歳くらいの子に、『この世界、腕だけやでー』って言われて(苦笑)。たしかにその通りなんです。そういう若い人のエネルギーを感じ、振り返ってみて『うちの会社は若い人たちのエネルギーを潰してるんちゃうかな』と思ったんです。そこで、新しい料理を開発する時には、料理人の役職や経験など関係なしに、コンペ形式にしたり、ブラインドテストをしたりするようにしました」

 実は洋史さんが経営に参加するようになった時点で、3億円以上の借金があった。経営者の意識や店を変えるのは、必然だったといえる(借金は現在、ほぼ完済)。

 洋史さんは店に残る資料を調べ、小次郎氏がどういう気持ちで創業したのか、思いを馳せた。そのうえで〈京都的なおもてなしの心をもったお店にしたい〉〈時代を先取りした独自の商品とサービスを提供したい〉などの言葉が並ぶ「創業の精神」を明文化。従業員にも徹底するように働きかけた。

 洋史さんは、ソムリエの資格とふぐ処理師の免許も取った。ソムリエはともかく、なぜ、ふぐなのだろう?

4代目店主が宝物のように愛する前菜7品の盛り合わせ「オードブル七宝」1,200円(税別)。この中に、ふぐが加わることも

 「和食なら、はこう取らなあかん、食材で季節感を現さないといかん、盛り付けはこうだ……といった決まりごとがあります。でも洋食は決まりごとに囚われず、自由にやっていい。そこで、洋食でふぐを出してみたら面白いと感じたんです」

 ふぐはオードブルに組み込まれているほか、今冬から、ふぐのコースもメニューに加わった(要予約)。メインはサフラン風味の鍋でのシャブシャブで、その後にリゾットを作って楽しめる。

 ハイカラな館での西洋料理で、客を感動させる。これこそが、「レストラン菊水」の真骨頂である。

(写真・伊藤千晴)

社交ダンス会場として作られた3階ホール。大正時代の姿そのままで、今も定期的に「菊水ダンス会」を開催している

●レストラン菊水
<所在地>京都市東山区四条大橋東詰祇園
(京都駅から奈良線東福寺駅へ、京阪電気鉄道京阪本線に乗り換え
祇園四条駅下車すぐ)
<営業時間>10時~22時(ラストオーダー21時30分)
<定休日>無休
<問い合わせ先>☎075(561)1001

  
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◆「ひととき」2016年2月号より

 

 


 

 

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