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2019/06/26 菊地武顕
土佐藩主・御用達の魚屋から始まり、西南戦争で凱旋した将軍の観月会、そして宮尾登美子の小説の舞台となった得月楼。特攻隊の将校だった4代目は空襲で焼けたはりまや橋に店を再建し、いまや6代目が受け継ぐ。創業400年、時代とともに変化する姿がある。
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2018/12/26 菊地武顕
『こんな綺麗な女将がいるなら、あの世からでも来るか』。三島由紀夫の最後の晩餐としても有名な鳥鍋は懐かしい味がする。大根おろしと生醤油につけ口中に広がる鶏肉の滋味。師走も近づく11月に散った三島は、湯気立つ暖かな中、何を思っていたのだろう。
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2018/10/26 菊地武顕
蒲郡産のアサリを入れたガマゴリうどんの発祥地の当店は、2代目のうどん研究から脈々と熱が受け継がれている。東京で修行し、各地を食べ歩いた4代目は大当たりした新メニューを考案。修行を積んで戻ってきた息子たちも新しい味を模索中だ。
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ぎをん萬養軒【京都】
2018/08/24 菊地武顕料理も守るものと変えるものを見極めないといけない。谷崎潤一郎『朱雀(すざく)日記』にも登場する老舗は、明治に木綿問屋の7代目が始めた。四条通から大和大路新橋に移転し、築百年以上の京町屋で伝統+歴史をスパイスに新しい挑戦に勤しむ。
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赤のれん【神戸】
2018/05/24 菊地武顕鎖国からの開港に沸く神戸。目くるめく奔流の中で、初代・儀市はビフテキとビフカツの屋台を出した。齢わずか十代半ば、時は明治39年。進取の精神に富む神戸の気質は、時代に合わせて柔軟に反応していく店主へと受け継がれていく。
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漢陽楼【東京・神保町】
2018/03/22 菊地武顕明治から大正時代、大陸からの留学生が行き交った東京・神保町に周恩来や孫文が故郷の味を求めて通った店がある。中国出身の初代より隔て日本人の4代目が繋ぐ味は、国同士の戦争を越えて市井を生きた人々の歴史と熱い交流がたっぷりと受け継がれている。
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うさみ亭マツバヤ【大阪】
2017/11/03 菊地武顕その名も知られる大阪・南船場こんこんさん。きつねうどんが生まれたのは大阪商業中心地の中。空襲・高度経済成長・バブル崩壊の日本の人々が時代を繋いで通ったうどん屋は、味わい深い優しい雰囲気を纏っている。
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中清【東京・浅草】
2017/07/24 菊地武顕幕末、駿河の武士が身分を捨てて、江戸で屋台の天婦羅屋を始めた。平成の今、六代目は中庭に鯉が泳ぐ数奇屋造りの厨房で天婦羅を揚げる。一子相伝の名物・雷神揚げを継ぐ次代店主も修行を終え、世代は脈々と流れていく。
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シェ ・ ヤマライ【広島】
2017/06/06 菊地武顕建物の雰囲気・サービスマンの気持ち・料理。継続の肝はこの三つと言う山口代表は、広島県・江波山公園内のレストランを背に笑う。名物・オイスターヴァリエは大粒でミルキーな広島産、肉は質が高い東北地方から復興支援も兼ねて仕入れるようにしている。料…
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坂本屋【長崎】
2017/05/23 菊地武顕4代目の座右の銘は「伝統は革新の積み重ね」。様々な文化が行き交った長崎で誕生した異国由来の卓袱料理を、女将さんの「お鰭をどうぞ」の挨拶で頂く。じっくり味を染み込ませた人気の東坡煮の絶妙な柔らかさが口いっぱいに広がる。
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今朝【東京・新橋】
2017/05/11 菊地武顕伝統とは、時代に合わせて柔軟に変化していくこと。明治時代に信州・上諏訪から上京した創業者から5代目の藤森朗氏は、カイゼル髭をたくわえてワインと牛鍋のマリアージュを追求している。
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あつた蓬莱軒本店【名古屋】
2017/04/24 菊地武顕全国区の知名度を誇るひつまぶしは、旧東海道沿いの料亭で生まれた。歴史ある熱田神宮の傍で、江戸から平成の時代を通じて生まれた様々なアイデアや挑戦が老舗を支えている。
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吉野鮨本店【東京・日本橋】
2017/04/11 菊地武顕明治時代に屋台寿司を始めた初代から約140年。東京・日本橋で5代目が受け継ぐ伝統の鮨に、煮きり醤油を付けて食べる贅沢な時間が味わえる。
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レストラン菊水【京都】
2016/05/21 菊地武顕京都の人々は洋食好きです。その地で名高い洋食店レストランが、市場大橋のたもとに佇む古い洋館にある。出される料理は時代を先取りしたものばかりだ。
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