2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2016年5月5日

―― インプットを増やした方がいいということでしょうか。

ロンドン、ボストン、計4年の駐在・留学経験を持つ中村氏

中村 それはその通りだと思います。私は個人的には「フレーズ・ファースト、グラマー・セカンド」と考えています。なぜかというと、英米で現地校に通った自分の子供を見ていたら、そのようにして英語を覚えていったからです。日常会話での英語では、この場面ではこれしかない、というお決まりの表現があるので、そうしたものを覚えて、後から理屈を考えるとよいと思います。

―― でも一つ一つ覚えるのは大変ですよね。

杉田 日本人は昔から単語帳で単語を覚えるとか、辞書を1ページずつ覚えて食べるみたいなイメージがありましたが、それでは身につきません。自然に頭に入ってくることが大事です。私が昔児童劇団にいたときに、「せりふは覚えてはいけない」とよく言われました。アドリブがきかないからです。何度も何度も読んで、その中で自然に入って来るのが大事です。やはり折に触れて使ってみるとか、そういう努力が必要です。

―― 映画を見るのは役に立ちますか。

杉田 効果的だとおもいます。最近はDVDなど画面の下に英語の字幕も出ますので。例えば、私が長く働いた広告業界ですが、1960年代にアメリカの広告業界を扱った映画を見ると、みんなタバコを吸っています。今ならパワハラ、セクハラになってしまうような場面もたくさん出てきますし、しゃべり方も全然違います。そういう時代の変化も学ぶことができます。

中村 テレビのニュースの読み方も今とは全然違いますよね。

杉田 そうですね。また当時は「女性の前で絶対使ってはいけない言葉」といった本などもありました。いわゆる「four-letter word」(四文字語)ですが、いまでは女性の前で言えないどころか、女性もどんどん使う時代になっています。

中村 映画やテレビは口語の表現が難しいですね。普通の学校教育では教わらないような言葉がたくさんあり、英語の奥深さを感じます。例えば、何か他人から感謝された時に「どういたしまして」というのは、学校では普通は「You are welcome」と習いますが、テレビなどでは「You bet」と使うことが多いです。アメリカにいたとき、CNNのキャスターが良く使っているのを見ました。私も最初は何を言っているのかわからなくて、テレビのクローズドキャプション(字幕)で確認して辞書で調べました。

杉田 You bet というのはいろいろなケースに使える便利な言葉です。

―― そうした生きた英語を学ぶためのコツみたいなものはありますか。

杉田 私が学生の頃はよく探偵小説を読めと言われました。探偵小説は人間をとりまく森羅万象がテーマになっていますので、英語の勉強にはもってこいです。いまは教材になるものはいろいろあります。まずは文章を読んでみて、何度も出てくる言葉やこの単語を知らないと先に進めないという時や、発音がおもしろそうだなという時には調べるといいでしょう。気にならないものは流し読みしても構わないと思います。次第に意味がわかってきます。そうしたやり方で覚えてゆくとよいのではないかと思います。


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