次に支社長として赴任したのが、「使えない上司」だったという。井上氏は、その上司の言動にこらえつつも、ついにキレてしまう。
40代半ばで、男性。単身赴任で来たのかな……。出世コースからは外れていたみたいでした。本社の役員たちにはめっぽう弱い。なんでも言いなりになり、へーこらへーこら……。私たち部下には、「おい、こら!お前!」とめちゃくちゃ強気。
私もみんなの前で、何度も怒られました。「なぜ、こんな数字なのか?」と。はじめは黙っていましたが、際限なく言ってくるから、ついに言い返したのです。すると、興奮し、必死に抑えつけようとしてきました。
ついに「キレる」
我慢できなくなった私が「この野郎! 黙れ!」と言って、手帳をぶつけたところ、態度が豹変するのです。会議室へ呼び、2人だけになると、こう言います。「そんなに怒るなよ。俺は君のことが好きなんだ」と。そして、握手をしようとしてくるのです。手を差し伸べてきました……(苦笑)。
上司だからといって、あの物言いはないと思います。どこまでも、ぞんざいな口の利き方は許せなかった。仕事ができるならともかく、さほどできない。要は、役員たちのコマでしかなく、部下には威張り散らす。あそこまでひどいと、許せない。
「使えない上司・使える上司」の分かれ道
・同じことを指示・命令をしても、部下の受け止め方は大きく異なる。部下の心をつかめないと、「使えない上司」になる。
・社長や役員などの指示・命令をそのまま、部下に伝え、叱る管理職なんていらない! まさしく「使えない上司」。
・「使える上司」は社長や役員などからの指示・命令を自分なりに解釈し、
取捨選択をして部下に伝える。伝える際のTPOもわきまえている。
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