金融万事 塞翁が馬

2016年5月18日

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国内の業界再編は加速するのか

 3月のロイター企業調査では、11%が調達コストの低下をM&Aへ活用すると回答(図表1)しているが、実はこの分野は近年盛況にある。日本企業が関わるM&Aは昨年件数ベースで2937件(前年比11%増)、金額ベースでは約21兆円(前年比倍増)となった。M&Aをタイプ別に見ると、より興味深い。

 アウトバウンド型(国内企業による海外企業M&A)は長引くデフレと低金利で過去15年程増加傾向にあるが、ここ2-3年はインバウンド型(海外企業による国内企業M&A)、足元では国内企業間M&Aも増加し始めた。日本の実体経済には(インバウンド型や国内企業間における)この変化はとても好ましく、特に国内企業間M&Aは件数も金額も影響が大きい。

 国内企業間M&Aは昨年6.9兆円(前年比129%増)・2031件(13%増)、2016年1-3月期は金額ベースで(前年同期比)102%増・件数ベースで5%増、高水準で拡大している。長年M&Aに対して経営・文化要因から保守的だった日本も、産業競争力強化法(2014年1月施行)、コーポレートガバナンスコード(2015年6月導入)、そしてグローバル化する企業活動の中で、M&Aへの意識も変わりつつあるのかもしれない。

 日産と三菱自動車の業務資本提携について林幹雄経済産業相も「業界再編を含めて、産業の新陳代謝を促すことは極めて大事」と述べている(5月13日 ロイター)。企業の資金調達費用の低下がこういった国内の業界再編の加速に繋がるか、四半期毎のM&A統計等からも目が離せない。

注1 3月3~17日実施、回答245社
注2 4月1~15日実施、回答244社

おことわり:本コラムの内容はすべて執筆者の個人的な見解であり、トムソン・ロイターの公式見解を示すものではありません。

  
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