2024年11月22日(金)

人事は企業を変えられる

2016年5月17日

 学生から信頼されている先生たちは共通して、生徒がその企業に入って本当に幸せかと、将来を案じていた。だから、「私の会社にはこんな技術と商品があり、こんな将来像を描いている。この技術を持った人なら活躍できる」と、会社が欲しい人材像を、詳細かつ合理的に伝えた。会社のカルチャーを理解してもらうことで、適性のある人物が先生方の紹介で会社に応募してくれるようになった。

 学生自身にも会社の強みを分かってもらえるよう、秘密保持契約まで結んで研究開発部門でインターンを行った。学生も、先生に薦められてなんとは無しに知った企業と、ビジネスの根幹まで見せてくれた企業とでは、捉え方が大いに違う。現在のインターンでは、新卒に何を期待しているかを明示して行っているケースもあるが、もっと根幹を体感させるような本当に価値あるものにするべきだ。

 2つ目のポイントは採用する前より、採用後のフォローこそ大事にしたことだ。それぞれの学校から優秀な人材が入って来たら、会社で一番優秀な課長を、彼らの受け入れの責任者とした。そして、彼らを会社の即戦力にすることを目標とさせ、個別のメニューを徹底的に行って面倒を見た。

 紹介してくれた先生たちには、学生たちの会社での活躍ぶりや、今後の期待値とそれに不足している部分を必ずフィードバックするようにしていた。先生たちは紹介した学生たちが会社で大切にされていることを知って、その後も優秀な人材を送りこんでくれる、会社の熱烈なファンになってくれた。

 採用には学生や先生への採用のマーケティング活動と企業のプロモーション活動が必要だ。労を惜しんで採用活動を行っていては、優秀な人材はいつまで経っても採れない。

  
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◆Wedge2016年5月号より

 


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