2024年11月22日(金)

WEDGE REPORT

2016年5月25日

 このサンダース人気、民主党首脳部にとっては悩みの種だ。共和党の候補者が実質上ドナルド・トランプ氏(69)一人となり、民主党としても一枚岩となって打倒トランプを目指したい。ところが、最近の選挙結果ではインディアナ、ウエスト・バージニア、オレゴンとサンダース氏が3連勝。クリントン氏が勝利宣言したケンタッキーは僅差で獲得代議員は同数となった。つまり民主党支持者の間ではクリントン候補に決定することへのためらいがある。

 もし大統領選挙がヒラリー対トランプとなった場合、史上最悪の「嫌われ者同士の決戦」になる。世論調査で「ヒラリーを支持しない」という人は37%に上り、これだけでも過去最悪レベルの数字だ。ところがトランプ氏となると支持しないが過半数を超える。二人が戦った場合、国民には「ベスト・オブ・ザ・ワースト」の選択となる。

ヒラリーは、トランプに負ける

 最新の世論調査結果の平均(「Hillary Clinton Now Loses to Trump in Polls. Bernie Sanders Beats Trump by 10.8 Points.」HUFFPOST POLITICS)で、ついにトランプが0.2ポイント差でヒラリーをリードする、という結果が出た。3カ月前にはヒラリーが10ポイントリードだったことを考えると、トランプの勢いは非常に強力だ。これは民主党をパニックに陥らせる結果だが、逆にサンダース対トランプの場合は平均で10.8ポイント、サンダースリードとなる。このため、民主党内でも「候補者選びは慎重に」といった声も出始めている。

 しかし、サンダース氏が民主党候補になる確率は限りなくゼロに近い。そのため、サンダース人気がこれ以上続くことは民主党内の分裂を呼び、その分トランプ氏が有利になる。これを懸念し、民主党上層部にはサンダース氏に選挙戦をやめるよう圧力をかける向きがある。

 だからと言ってサンダース氏が選挙から身を引けばヒラリー氏でまとまるか、となると答えはノーだ。アーバインの集会に参加していた人に話を聞くと、多くが「ヒラリーには投票しない」という。民主党がヒラリー氏を指名しても、本番の大統領選では「バーニー・サンダース」に投票する、というのだ。

 実は米国の大統領選挙で、これは可能だ。党指名から外れても独立候補として選挙戦に残ることができるし、残らなくても基本的には「誰に投票しても良い」のだ。このため、諦めの悪い共和党上層部はすでに選挙戦から撤退したオハイオ州知事、ジョン・ケーシック氏に独立候補として選挙に出ることを打診している。また、ルビオ、クルーズ両氏への投票を薦める向きもある。


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