2024年11月22日(金)

海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年6月14日

人種・民族の融和はできるのか

 共和・民主両党の候補指名争いが、事実上終了しました。今回の指名争いにおいて、筆者は9つの州でクリントン選対に入り、戸別訪問及び電話による支持要請を行ってきました。戸別訪問数は合計2065軒となりました。有権者の反応を12年米大統領選挙と比較しますと、16年は戸別訪問の際、有権者が人種や民族に関するコメントをする傾向があります。

 たとえば、カリフォルニア州サンフランシスコでは、アフリカ系女性(54)が次のように語っていました。

 「トランプには偏見があります。白人しか気にかけていないのです。アフリカ系、中国系、日系やフィリピン系など他の文化の人たちを否定しているのです」

 同じくサンフランシスコで、クリントン陣営の標的となっている有権者の家を改装をしていたエルサルバドル出身の大工が以下のように述べていました。

 「白人の大工はトランプに投票すると言っています」

 カリフォルニア州のみならず、中西部ミシガン州や東部ペンシルベニア州など他州においても、戸別訪問の際に人種や民族に関するコメントを幾度となく聞きました。08年米大統領選挙でオバマ候補(当時)に人種や民族の融和に期待して投票した有権者は少なくありません。皮肉にも特定の人種及び民族を攻撃し分断を促す発言で支持を獲得したトランプ候補が、共和党候補になることが確実になりました。

 オバマ大統領は、クリントン候補とサンダース上院議員の仲介に入り、民主党内の統一を図ることはできるかもしれません。しかし、同大統領に求められているのは、それ以上の仕事です。一言で言えば、米国社会における人種や民族の分断解消です。同大統領には、人種や民族の分断を進めるトランプ現象にストップをかけ、融和を図り、それをレガシーにしてもらいたいものです。
 

  
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