2024年4月25日(木)

ネット炎上のかけらを拾いに

2016年6月14日

オッサンは女子の好きなものを想像できない

 プロジェクトと募集内容の、ちぐはぐ感。ICTに真面目に興味のある女性は、年齢制限や写真重視な応募書類を見てモチベーションをそがれそうだし、反対にアイドル活動を目指す女性にとって、「ICT(情報通信事業)の新たなビジネスモデルを発掘」というような条件は重たく感じられないだろうか。ICTに興味関心が高く、さらに自分の容姿でも勝負したい13~24歳の女性というのもどこかにはいるかもしれないが、48人(以上)公募するというのは、なかなかのチャレンジに思える。

 「批判殺到「ICT女子プロジェクト」サイトが“白紙”状態に 担当者「中止や撤回ではない」」(ITmedia)によれば、担当者は「企画の意図をうまく伝えることに失敗し、アイドルグループの募集をしているような表現になってしまっていた」と説明したという。

 記事内にはこのほかにも、「実態面や報酬面でもアイドルグループでは全くない」「『48』とついているが、人数制限はなく、『応募していただければ誰でも歓迎』」といった説明がある。これらから推測できるのは、「ICT女子プロジェクト」が「ICT48」として募集していたのは、ICTを活用しての情報発信に興味のあるボランティアの若い女性たち、といったところなのではないか。不器用で不慣れな打ち出し方が、この炎上を招いてしまったのではないか。

 ……いや、少し擁護めいたことを書いてはみたが、やはりキツイ。最大限、好意的に考えて導き出される答えは、「ICTという言葉に興味を持たない女子を集めるためには、女子の好むアイドルオーディション形式にすればいいんじゃないか?」というオッサンの発想だ。アイドルオーディションに興味を持つのは、一部の女子と一部のオッサンなのに。「最近、○○48ってつける企画が流行っているから」だったとしても、話題が古い。ノリ遅れている。スピードが重視される情報通信事業で、こんなノリ遅れがあっていいのだろうか。とても悲しい。悲しい炎上案件だった。

  
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