対談

2016年6月21日

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左藤:でも奥原硝子はすでにお土産物にシフトしていたから、僕の作りたいものは市場では消滅寸前でした。だから作れば売れるに決まっているという確信があったし、かつて存在していたイメージも買う側に残っている。技術さえ追いつけばできるだろうと、妙に楽観していたんですね。

左藤吹きガラス工房の顔ともいえる、縦モール(ひだ)入りのコップ

久松:できる場所を探して丹波や房総に移られたのは、条件などよりもツテの有無が大きかったんじゃないかと思いますが、農業もやっぱり初期はツテがないからなかなか良い条件の場所も見つからないし、移ってみないとわからない。左藤さんと同時期にガラスを始めた人で、同じように自信満々でも、実現できる場に恵まれずに辞めていった人もいるんじゃないですか?

左藤:そうですね、けっこういます。

久松:そこの差って何なんでしょうね。

左藤:それは不思議でしょうがないところなんですけど、人の欠点はよく見えるところもあって、ネットの使い方がなっていない人が多いんです。ホームページも作っていなかったり、自分がどういう活動しているのかどこにも書いていなかったり。たとえば「4月に個展、5月にグループ展があります」とか、そんなことでも書いていないと、お店の人もオファーしにくいだろうと思うんです。ネット活用に限らず、そういう具体的な要因がいくつかある人はやっぱり辞めていきますけど、かといって自分がうまくやっているかというとそうでもないですしね。

目利きとは「誰が何を欲しがるか」を知っていること

左藤:あと、久松さんも『小さくて強い農業をつくる』(晶文社)で書かれていましたが、ニッチを狙うのはすごく大事だなと思いますね。新作を作るときはまず画像検索して、似たようなものが作られていないかどうかを調べます。かぶってしまったら、商売としてまずい。

久松:人の作っていないようなものを作りたいという思いも?

左藤:ありますね。人がやっていないことのほうが面白いです。真似したと思われるのもイヤだし、万が一、自分のほうが出来が悪かったら恥ずかしい(笑)。

 もちろん、ニッチなものを出してみてもまったく反応がないこともあります。技術的に未熟な頃はとくにそうですね。

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