さて、この記事でこの炎上の顛末を知った人のほとんどは今、思ったのではないだろうか。「くっだらねえ」と。筆者もそう思う。参院選の後で、こんなくだらない炎上についての原稿を書いているライターとは一体なんなのか。
だが、この炎上がネット上で多くの人の目を集めていたこともまた事実なのだ。脳科学者の茂木健一郎氏やプロブロガーの先駆けである「はあちゅう」氏もこの騒動について言及した。中には参院選よりも熱い気持ちで行方を見守っていた人も何人かいただろう。自分の一票が国政を変えると言われるよりも、自分の1ツイートで「プロブロガー」を痛めつけられることのほうに「リアル」を感じた人たちもいるのだ。
理屈をつけていじめを正当化する人たち
Mさんは「1日50円」のブログ内でも「ぼくはよくブログで炎上します。かなり嫌われてます」と書いている。ネット上にはいろんな人がいる。有名でも大して嫌われていなくても「クソリプ」で絡まれることはある。嫌われている自覚があるのであればなおさら、「法的、倫理的にアウトなものは受け付けません」などの注釈を一言でも加えることが必要だったのだろう。これは、ほかのユーザーたちも指摘していることだ。
こういったリスクヘッジを行わずに、言ってみれば真っ裸の状態でネット上で踊るMさん。格好の「叩き」の的になるのは、人間の残酷さを考えれば必然だ。みんな、Mさんに本気で腹を立てているわけではない。彼の危機管理意識の薄さ、知識の浅さ、行動の軽薄さ、「プロブロガー」というよくわからない肩書きを名乗ることなどが鼻につき、「うざい」と思っている。反論するような強さもないことを見抜いている。すなわちMさんは「弱い」から叩かれるのだ。
筆者は、弱いから叩いていいと言いたいのではない。相手が「弱い」から叩いているくせに、その事実は無視し、理屈をつけていじめを正当化する人たちのことを、嫌だなあと思うのだ。「50円払うので日雇い労働してください」と言ったユーザーにも愉快犯的な悪質さがあるのに、そこに目を向ける人が少ないのは、Mさんを叩く人が最初から多数派だったせいだ。