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2016年7月30日

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宮川公男 (みやかわ・ただお)

一橋大学名誉教授、麗澤大学名誉教授、元(財)統計研究会理事長。著者に『基本統計学』(有斐閣)、『政策科学の基礎』(東洋経済新報社)、「統計学でリスクと向き合う」(東洋経済新報社)、「統計学の日本史」(東京大学出版会)など多数。

「みなし額面」方式で株価6倍になったKDDI

 これに対して日本では高株価=優良会社という見方が強いこともあって株式分割があまり盛んでなかった特殊事情により、もともと価格ウェイト問題が大きい日経平均では、05年6月7日に時代錯誤的ともいえる「みなし額面」方式という株式の額面概念を持ち出し、株式分割があっても分割銘柄の日経平均算入株価は下げられなくなった。

 「みなし額面」方式では、大幅な株式分割の際に分子の株価合計において分割銘柄の株価を分割前のものに換算する方法が採られる。例えばかりにファーストリテイリングが今後株式分割を行ってもその算入株価は分割倍率を乗じて分割前の1株に換算されたものになり、その影響力は大きいままで残る。

 「みなし額面」方式によってその後2回の分割で現在算入株価が株価の6倍になっているKDDIの場合を見れば、分割の効果もあって株価が堅調で、5桁クラブの中での同社の順位は最下位5位から2位に上昇しており、そのことが最もはっきりと示されている。そしてこの問題は、後に述べるETFの問題にも関連して、日経平均に対してきわめて悩ましくかつ解決の難しいジレンマとして今後注目されねばならないものである。

なぜ日経平均は歪んだ平均になってしまったのか

 日経平均のベースは120年前からのNYダウと同じく最も常識的な算術平均であり、複雑な式とか難しい数学などとは一切無縁である。両者の違いはNYダウが1928年10月1日から、それまで用いていた株式分割に際しての分子修正方式から現在の分母(除数)修正方式に改め、それをダウ方式と呼んでいるのに対して、2005年6月までNYダウと同じダウ方式を採っていた日経平均は、その歴史に逆行してダウ方式以前の分子修正方式に、しかも中途半端な新旧混合方式に戻ってしまったのである(詳しくは宮川公男著『日経平均と「失われた20年」』東洋経済新報社を参照)。

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