世界的に注目を集める現代写真家の一人、トーマス・ルフの本格的な回顧展が、日本で初めて東京国立近代美術館で開かれる。
C-print, 186×268センチメートル
©Thomas Ruff VG Bild-Kunst, Bonn 2016
1958年ドイツ生まれのルフは、自身で撮影した写真以外にも、インターネット上のデジタル画像や古写真のコレクションなど、あらゆるイメージを素材に使った、ユニークな作風で知られる。
本展では、初期の作品から最新作まで約125点を紹介。友人をモデルに撮影した顔写真を、高さ2メートルを超える大判サイズに引き伸ばした初期の話題作「Porträts(ポートレート)」をはじめ、NASA(アメリカ航空宇宙局)の宇宙探査機が撮影した画像を素材にした「cassini(カッシーニ)」や「ma.r.s.」など、特定のコンセプトに沿って制作された全18シリーズの作品が一堂に会する。
日本の漫画やアニメの画像に、原型がわからなくなるまで加工を繰り返した「Substrate(基層)」や、デジタル画像の持つ特性そのものに注目した「jpeg」など、既成概念をくつがえす写真作品の数々により、表現の可能性を感じさせる展示が続く。
また、新聞社のプレス写真アーカイヴの紙焼写真と文字情報を素材にした「press++」シリーズでは、読売新聞社のプレス写真を使った、世界初公開作品にも注目したい。
●トーマス・ルフ展
<開催日>2016年8月30日~11月13日
<会場>東京都千代田区・東京国立近代美術館 (東京メトロ東西線竹橋駅下車)
<問>☎03(5777)8600
http://www.momat.go.jp/
http://thomasruff.jp/event/
*情報は2016年6月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください
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