2024年12月23日(月)

WEDGE REPORT

2016年8月1日

 最近の欧州におけるテロの続発は、過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いが「新しい危険な段階に入った」(米ワシントン・ポスト)ことを示すものだ。しかし、実はIS壊滅後の方がずっと厄介で、恐ろしい状況になる見通しなのだ。「かつて見たことのないような大勢のテロリストがシリアからあふれ出すだろう」という警告に世界はどう対処するのか。

桁違いの拡散に

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 米紙などによると、この警告は7月27日、米連邦捜査局(FBI)のコミー長官によって発せられた。長官によると、米主導の有志国連合は最終的にISを壊滅することになるが、IS戦闘員のすべてを殺害、もしくは捕虜にすることはできず、多数がシリアから逃亡し、欧州に、そして米国にも舞戻って来る可能性が高い。

 その結果、欧米でのテロの発生はISの壊滅の前と比べて減るどころか、増加するという最悪の状況になりかねない、という。シリアやイラクでのISの壊滅が欧米の治安の安定をもたらすことにはならないということだ。

 コミー長官はこの見通しについて、国際テロ組織アルカイダの戦闘員が米軍のアフガニスタン侵攻後に国外に逃亡した過去と比較、「ISのケースはその10倍以上の規模で起きる。われわれが経験したことのないような桁違いの拡散になるだろう。その挑戦は間もなくやってくる」と指摘した。


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