アルカイダの場合は、アフガニスタンから流出した戦闘員らが中東や北アフリカなどの母国に戻り、そこで地元の過激派を糾合してアルカイダの分派が次々に誕生した。「アラビア半島のアルカイダ」「マグレブ諸国のアルカイダ」などはその代表的な例である。
ISの壊滅は来年にも見えてくる
シリアとイラクの戦場おけるISの劣勢は日々深まっている。ISが最盛期に占領していた領土に比べると、シリアでは約20%、イラクでは約50%を失った。「ISの壊滅は来年にも見えてくる」(テロ専門家)という中で、世界は壊滅後のテロ増加について早急な対策を求められているということだ。
最近ワシントンで開催された対IS国防相会議でも、IS壊滅後の戦闘員の流出問題が大きな議題になった。シリアから逃亡する戦闘員はまず、隣国のトルコに越境し、各国に散らばる経路を取る。このため、トルコの国境警備が極めて重大になるが、トルコがクーデター未遂で現在も大きく揺れており、十分な対応ができないのではないかとの懸念も出ている。
米情報機関の推計として伝えられるところによると、2011年以降、世界の120以上の国から約4万3000人の戦闘員がシリアやイラクに流入した。うち欧米からは7400人が入り、米国からは250人がその中に含まれている。国連のテロ対策高官は今月、シリアとイラクには依然、約3万人の外国人戦闘員がいることを明らかにしている。
問題はコミーFBI長官の警告のように、こうした外国人戦闘員がすでに母国に帰還し始めていることだ。同高官は戦闘員らが、欧州だけではなく、チュニジアやモロッコなど中東各国にも戻りつつある、と指摘している。