女優の室井滋さんが、テレビ番組で紹介された男性の同性愛者に「女の子と付き合ったら変わっちゃうんじゃない?」と発言したことが、「差別発言」として話題になっている。LGBTへの世論は、ここ数年で大きく変わったように感じるが、その認識にテレビがついていけていないようにも感じる一件だ。
典型的な同性愛者に対する偏見
8月3日に放送された「チマタの噺」(テレビ東京)というバラエティ番組。笑福亭鶴瓶さんとゲストが一般の人の“噺”をネタにトークを展開する番組で、この日のゲストは室井滋さんだった。炎上の的となったのは、VTRで最初に登場した兄弟に関するコメントだ。
弟がゲイであり、兄もそのことを知っている20代の兄弟。弟が女性と付き合ったことはあるかと聞かれ「ないです」と答えたことを受け、室井さんは「いい兄弟ですよね」と言いつつ、その後で「案外さ、女の子と付き合ったら変わっちゃうんじゃない? この人。今、男の人しか知らないって言ってたから」と発言したのだ。鶴瓶さんはこの発言について特にコメントせず、「あの兄貴いいよね」と、人のよさそうな兄を感心したようにほめていた。
室井さんの発言について、ネット上では「(室井さんは)異性愛者だと思うけど、『女の子と付き合ってみたら変わるかも』と言われたら、という想像すらできないのか」「こういうのはきちんと差別発言、ヘイトスピーチと呼ぶべき」といった批判が巻き起こった。
先週末に報道されて大きな話題となった、一橋大学で同性愛者の男子学生が自殺し、遺族が裁判を起こした件についてのことか、「同性愛者が自殺してしまう日本らしい発言」とコメントする人もいた。
室井さんは早稲田大学社会科学部中退の経歴を持ち、女優の傍らエッセイストとしても人気だ。ざっくばらんに発言する「知性派」というイメージが強いことから、なおさらこの発言について残念に感じた人が多かったのではないかと推察される。