アルカイダの生き残りが集結
「ヌスラ戦線」の指導者ジャウラニは7月28日、アルカイダとの決別を宣言、組織名も「シリア征服戦線」に改称した。ジャウラニは両組織の決別を認めるアルカイダの指導者アイマン・ザワヒリの声明も発表した。
「彼らは反体制派の主導権を掌握したことで内戦終結後もシリアの主勢力として生き残りを図った。そのためにはアルカイダとの連携が障害になる。だから表面上、関係を解消してみせた」(ベイルート筋)ということのようだ。欧米は名称を変更しても、その本質に変わりはないとしている。
米国の情報機関が特に注目しているのが、かつてのアルカイダの指導者オサマ・ビンラディン時代の大物テロリストたちが続々とシリアに集結し、「シリア征服戦線」に加わっていることだ。戦闘員の勢力も1万人を超えた。
その中には、ビンラディンの側近でアルカイダ軍司令官だったエジプト人のサイフ・アデル、元最高幹部議長のアブカイル・マスリ、テロ計画立案で知られるアハメド・アブドラらが含まれている。米情報機関はアルカイダによる米本土へのテロが起きるのは時間の問題との見方を強めている。
シリア内戦はISというモンスターを作ったが、「シリア征服戦線」という新たな手強い怪物も誕生しようとしている。
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