2024年11月22日(金)

海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年9月14日

戻らない振り子

 2012年共和党候補指名争いで、ミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事は、不法移民対策として「自主退去」を提案しました。不法移民に対し州の移民法を厳しくすれば、彼らは自主的に国外退去をするというのです。指名争いを勝ち抜くためにとったこの強硬策が影響し、結局、ロムニー知事は出口調査でヒスパニック系の27%しか獲得できませんでした。指名争いで一度右に振れた振り子は、本選で中道に戻ることができなかったのです。

 翻ってトランプ候補を考えてみましょう。移民政策はトランプ候補の政策の柱になっています。特に、例の「国境の壁」はトランプ候補の象徴になっています。同候補は、ロムニー候補よりも移民問題でさらに強硬な姿勢を見せており、ヒスパニック系から人種差別者と認識されています。同候補が、移民政策でタカ派とハト派の使い分けを続けても、極端に右に振れた振り子は中道に戻れないでしょう。
 

  
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