2024年12月23日(月)

海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年8月5日

 今回のテーマは、「全国党大会の評価と新たなネガティブキャンペーン」です。共和・民主両党の全国大会が終了し、いよいよ本選に突入しました。全国大会後に実施された米CNNテレビの世論調査(16年7月29日-同月31日実施)によりますと、前国務長官のヒラリー・クリントン候補の支持率が52%、不動産王ドナルド・トランプ候補のそれが43%で、クリントン候補が9ポイントリードしました。

民主党大会で抗議する青年(GettyImages)

 本稿では、一体感、好感度、米軍最高司令官、文化的多様性及びメッセージ性の5つの基準から、両党の全国党大会を評価します(図表1)。さらに、本選における非従来型ネガティブキャンペーンについて述べます。

一体感

 共和党全国党大会の演説で、トランプ候補のライバルであったテッド・クルーズ上院議員(共和党・テキサス州)が、誰に投票をするのかは良心に任せると発言して、同候補支持を表明しませんでした。クルーズ上院議員は、同候補が求めている宗教保守から厚い支持を得ています。

 一方、民主党全国大会では、クリントン候補と激しく戦ったバーニー・サンダース上院議員(無所属・バーモント州)は、自身の支持者に向かってクリントン支持を訴えたのです。周知の通り、サンダース上院議員は同候補が呼びかけている若者から圧倒的な支持を得ています。2人の上院議員の対応が、党の団結において分岐点になったのです。

 サンダース上院議員に加えて、民主党全国大会ではビル・クリントン元大統領、バラク・オバマ大統領、ジョー・バイデン副大統領など大物の「まとめ役」が党の結束を図りました。その結果、100%の一体感ではなかったものの、団結を演出できた民主党に軍配が上がったと言えるでしょう。


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