海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年8月5日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

米軍最高司令官

 ブッシュ親子及び08年米大統領選挙の共和党候補であり上院軍事委員会委員長のジョン・マケイン上院議員(共和党・アリゾナ州)など重鎮の全国党大会欠席は、共和党の結束の欠如を物語っていましたが、それのみではありません。トランプ候補が、米軍最高司令官の資格があるという強いメッセージを発信することができなかったという問題にまで拡大したのです。

 他方、民主党全国大会でオバマ大統領が、クリントン候補は米軍最高司令官として資格があるというメッセージを発しました。この点においても、民主党大会に軍配が上がりました。

文化的多様性とメッセージ性

 共和党全国大会は、「白人の党大会」になりました。米メディアによりますと、共和党全国大会における演説者の15%が非白人であったのに対して、民主党全国大会では演説者の38%が非白人でした。民主党全国大会は、共和党全国大会と比べて文化的多様性に富み、米国社会の人口動態を反映していたと言えるでしょう。

 クリントン候補の核となる「一緒になればもっと強くなれる」は、異文化連合軍に呼びかけたものであり、文化的多様性を包含したメッセージです。それに対して、トランプ候補の「法を守り秩序を回復する候補」は、共和党候補指名争いにおける発言から、移民排斥に訴えたメッセージであると解釈でき、「あなたの声になる」は「白人労働者の代弁者になる」と捉えることが可能です。クリントン候補のメッセージと比較して、トランプ候補のそれは文化的単一性が強いという特徴があります。ただし、指名受諾演説における両候補のメッセージには力があった点において高く評価できます。

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