ベストセラーで読むアメリカ

2016年9月29日

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 筆者はシークレット・サービスで働いた経歴を持つ。前々回の本コラムでも、シークレット・サービスのOBによる大統領を巡る回顧録を紹介した。前々回の筆者は大統領につきしたがって身辺を護衛するスペシャル・エージェントだったのに対し、今回の筆者は同じシークレット・サービスでもUniformed Divisionの所属で、制服を着てホワイト・ハウスの警備にあたっていた。

 筆者は父ブッシュ大統領、ビル・クリントン大統領、そして息子ブッシュ大統領の3代の大統領のホワイト・ハウスの警備に命をかけた人物だ。大統領執務室の入口そばに待機して警備にあたるなど、ホワイト・ハウスの内部事情に詳しい。ビル・クリントン大統領だけでなく、ヒラリー・クリントンの言動をホワイト・ハウスで間近にみた経験から反ヒラリー本を書き上げた。

夫婦喧嘩で顔にアザ

 ヒラリー・クリントンは日ごろから部下に対して激高し、怒鳴りちらし、自分のミスを認めない傲慢なタイプだったと筆者は酷評する。ビル・クリントン大統領との夫婦げんかの声や物を投げる音がホワイト・ハウス内に響き渡ったという。おそらく夫婦喧嘩がもとで顔に痣ができたビル・クリントン大統領が朝、執務室に出てきたこともあったと、次のように回想する。

 The president entered around nine. His arrival times fluctuated. I couldn't beleive my eyes: a black eye! I was well accustomed to his allergy-prone, puffy eyes. But this was a shiner, a real, live, put-a-steak-on-it black eye. I was shocked. (p.2)

「大統領は9時ごろ執務室にやってきた。やってくる時刻は日によってまちまちだった。わたしはわが目を疑った。大統領の目の周りにアザができていたのだ。大統領がアレルギーで目を腫らすことはよくあった。しかし、これは見間違いようのない正真正銘の生々しい黒アザだった。わたしはびっくりした」

 父ブッシュ大統領時代にシークレット・サービスで働き始めた筆者は、常識をわきまえない若い取り巻きが多いクリントン政権に対し、厳しい目を向けていた。クリントン政権が発足して間もないころ、アル・ゴア副大統領が新たに公邸に引っ越してきた時に起きた珍事を次のように披露している。

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