2024年12月22日(日)

海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年9月21日

 現地リポートの6回目は、「トランプ・クリントンに不満足の有権者」です。米ギャラップ社の世論調査(2016年8月15-16日実施)によりますと、共和党支持者及び共和党に傾いている有権者の52%が不動産王ドナルド・トランプ候補に不満を抱いています。

 一方、民主党支持者並びに民主党に傾いている有権者の42%が前国務長官ヒラリー・クリントン候補に不満を持っています。民主党支持者と民主党に傾いている若者(18-39歳)になりますと、同候補に対する不満は60%まで上がります。そこで本稿では、南部バージニア州で実施した戸別訪問で得た不満足度の高い有権者の声に焦点を当ててみます。

両候補に不満足の有権者

 2012年米大統領選挙において、筆者は激戦州バージニア州フェアファックス市で戸別訪問を行いました。16年も同地域を回り、599軒のドアを叩きました。前回の選挙では、有権者が共和党及び民主党のどちらの候補を支持するのか積極的に述べたのですが、今回は両候補に対して強い不満を感じているのです。以下で、戸別訪問を通じて出会った有権者の声の一部を紹介しましょう。

 フランシスコ・ミュノズ-ロビラ(76)

 「私は2人の候補に不満足です。2人には投票しません。ヒラリーはメール問題で嘘をついています。トランプは大統領になる資格がありません」

 レズリー・ショー(41)

 「私は無党派層です。どちらの候補にも満足していません。ヒラリーのメール問題に関する説明には納得いきません」

 スティーブン・ストムブレス(46)

 「どの候補に投票するのか決めかねています。共和党候補指名争いでルビオ(上院議員)を支持しました。トランプとクリントンに満足していません。恐らくリバタリアンに投票するでしょう」

 クリントン陣営が標的としているマイケル・シェイファーさん(23)の家を訪問すると不在でしたが、母親が対応してくれました。上で紹介した有権者と同様、この母親もトランプとクリントンの両候補に対して強い不満があったのです。

 「息子はボストンにいます。私は共和党に登録していますが、サンダースに投票しました。トランプにもヒラリーにも満足していないからです。トランプは自負心がとても強い人間で、しかも男性優越主義者です。娘はテネシー大学で勉強しています。トランプがテネシー大学を訪問した時、学部の男子学生を指して『彼らの下で働いているのか』と娘に質問をしたそうです。娘は博士課程にいるのですよ」

 そう語ると、今度はクリントン候補の批判を始めたのです。

 「ヒラリーは刑務所に入るべきです。彼女はメール問題で何かを隠しています。クリントン財団にはチェルシーが残るようですが、財団は廃止するべきです」

トランプ・ペンス支持のバンパーステッカー(筆者撮影@ワシントン)

 クリントン候補に対する不満足はメール問題に加え、クリントン家の慈善団体「クリントン財団」にも広がっています。戸別訪問の最中、「クリントン財団は、クリントン家の資金作りになっており廃止するべきです」という声もトランプ支持者から聞きました。クリントン候補が国務長官在任中に、同財団に対する献金者に便宜を図ったのではないかという疑惑が浮上したのです。


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