制作者が「ピュア」で良いはずがない
「少女をうなぎに擬人化したPR動画、削除理由と制作意図を聞いてみた」(ウートピ)によれば、制作を担当した博報堂の担当者は「動画はうなぎを天然水でストレスがかからないように大切に育てているということを一番に伝えたかったもので、性的なものをイメージさせる意図はまったくありませんでした」と答えたという。
随分とピュアな言い分だ。ネット上では早速、「エロいと思う方がエロいんだ」とCMを擁護する意見があがっているが、スク水の少女、フラフープ、ぬめぬめ、ホースからの放水、媚びるようなセリフ、これらを総合して本当にエロくないと思うのだろうか。胸に手を当ててほしい。事実としてアダルトビデオやイメージビデオによくある演出であることは否めない。
とはいえ、見る側で「エロくない」と言い張る人がいるのは個人の自由だ。しかし制作側が「性的な意図はなかった」とは、浅はかだったとしか思えない。広瀬すずが焼きそばにマヨネーズをかけ、「全部、出たと?」と言うCMのセリフは差し替えになった。このような前例を広告制作側が知らないとしたらそれは勉強不足、危機管理不足だろう。「ピュア」は「純粋」「純真」という良い意味で解釈される場合が多いが、裏を返せば世間知らずの無知である。職業人のピュアはときとして洒落にならない。無知はセンスの良いクリエイティブにつながらない。
ウナギに罪はない。養殖ウナギの研究に励む志布志市の現場の人たちも、こんな逆PRをされて気の毒だ。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。