Wedge REPORT

2016年10月14日

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3組織で地域の公益・共益・私益を追求

 粟は五ヶ谷(現・精華地区)の地域活性化のための「プロジェクト粟」の一翼を担うもの。このプロジェクトを構成するのが、粟をはじめとする飲食店の経営や6次産業化を担う(株)粟と、伝統野菜を栽培する集落営農組織の五ヶ谷営農協議会、そして伝統野菜の調査研究などをするNPO法人清澄の村の三つの組織だ。

 三浦さんは「NPOは公益を、五ヶ谷営農協議会は一人一票の組合ですから集落の共益を、株式会社は私益、利益を担当している」と三者の役割を説明する。(株)粟の年商は1億円で、その利益が他の組織の活動をしっかり下支えしている。

粟おかませコース((株)粟提供)

 足元の五ヶ谷は戸数約300、総人口1000人程度で、ほとんどの人が奈良の市街地の職場へ通勤している。そのため、山間部と違って過疎化はさほど進んでいない。通勤者は退職後に農家になるケースが多く、そうした農家が伝統野菜を守っていたのだ。

 地元農家に多かったのが50アール弱の農地をもっていて、うち20アールで自家用と親戚に配るためにコメをつくって、5~10アールほど自家用に野菜をつくるというもの。ただ、これでは20~30アールの農地が余ってしまい、とりあえず手間のかからないコメを栽培しているものの、その収支はとんとんか赤字だった。

 それならばと三浦さんは「伝統野菜のために余っている農地を有効に使ってもらう。そういう人が増えれば地域の農業技術や文化が守っていける」と考えた。この当初の狙いは見事に当たり、立ち上げ当初は4人の農家しか参加していなかった営農協議会に、今では12軒20人が参加している。農家の平均年齢は57歳で、最年少は22歳、最高齢は83歳だ。

 「みなさん粟のために健康でちゃんと野菜をつくらないかんと思って気を張ってくれています。そこには楽しみもあって、報酬もあるという、すごく良いサイクルができています」と目を細める。

 営農協議会が栽培した伝統野菜を(株)粟が買い取り、その再生産を促す仕組み。「まさに本来の農協ですよね」と三浦さん。営農協議会の設立は、農協が不採算だとして地区から支所を撤退させた時期に重なる。かつての農協の支所を買い取り、今では加工所として使ってもいるのだ。

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