イージス艦受注で三菱の独占を崩す
一方、商船建造と並ぶ経営の柱である防衛省・海上自衛隊向けの艦艇建造部門でも躍進が目立つ。JMUの母体の一つであるIHIは、三菱重工と並ぶ護衛艦メーカーで、特に空母型の大型ヘリコプター搭載艦(DDH)4隻を連続建造しているが、昨年度、これまで三菱重工がほぼ独占してきたイージス艦(DDG)を受注、さらに今年度分についても受注を内定している。
JMUがイージス艦を建造するのは、IHIが93年度に受注した『ちょうかい』以来となるが、同社はこのところ、大型化傾向を強める海上保安庁向けの巡視船分野でも受注を増やしており、注目を集めている。
最近の造船業界は昨年末までの造船の環境規制を前にした駆け込み需要などで各社ともほぼ3年分の手持ち工事量を抱え、フル操業が続いているが、年明け以降は海運市況の低迷もあって需要が激減。先行きを懸念する声が高まっている。こうした中、客船事業で大幅赤字を計上している三菱重工や、海洋関連事業が不振に陥った川崎重工などは事業の見直しに入っており、業界再編を巡る議論が再び高まりそうだ。
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