前向きに読み解く経済の裏側

2016年11月1日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

経済評論家

1981年 東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の業務に従事。2005年 銀行を退職して久留米大学へ。現職は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は一個人として行うものであるため、肩書きは「経済評論家」とする。

自由貿易で不利益を被るのは、比較劣位産業従事者と非成長産業従事国

 日本と途上国を比べると、農業が比較劣位なので、農産物を輸入することになります。日本経済全体としては、貿易によりメリットが得られるのですが、農家にとっては大きな迷惑です。「農業をやめて自動車工場で働いて下さい」と言われても、簡単なことではないからです。途上国の自動車会社にとっても大迷惑です。

 そこで、日本の農家と途上国の自動車会社が自由貿易に反対するのです。具体的には「日本は農産物の輸入に関税をかけろ」「途上国は自動車の輸入に関税をかけろ」と主張するわけです。それで、なかなか自由貿易が実現しないのです。

 今ひとつの問題もあります。自動車産業は、技術進歩が見込めますから、将来は夢の様な自動車が開発できるかも知れませんが、農業は、発展の余地が限られていますから、農業に特化することは、将来の可能性を放棄することになりかねません。だから途上国が嫌がるのです。

 たとえば、レストランで同僚が分業するとき、料理担当と皿洗い担当に分かれるとしたら、誰だって料理担当をしたいでしょう。将来は有名シェフになれる可能性があるからです。それと同じようなことが、国際貿易でも生じ得る、というわけですね。

  
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