2024年2月22日(木)

江藤哲郎のInnovation Finding Journey

2016年12月3日

 グローバル・ロジスティックスのソリューションを提供するグローバトムは、まさしくシアトルで生まれるべくして生まれたスタートアップだ。同社が開発しクラウド上で運用するエンタープライズ・システムは、マシン・ラーニングと分析予測の技術を駆使し陸海空全てをカバーして貨物運輸の追跡と管理ばかりでなく運行ルートの最適化まで行う。

アマゾンからスピンアウトしたスタートアップ

 創業者ダン・アコスタは南米コロンビア生まれで移民としてフロリダに渡り苦学してハーバード・ビジネス・スクールを卒業後、事務用品の通販大手オフィス・デポで物流を任されていた。しかし商品の受け取りや発送で事業者同士のシステムが違うばかりか、未だにファックスや電話でやり取りが必要などレガシーな手段が混在している現状に悩まされる。最も頭が痛かったのが在庫の日数をどうやって短くしてコスト削減に繋げるかだが、天候不順、事故、渋滞など世の中には不確定要因が多々あり改善は容易ではなかった。

 であれば流通事業が盛んなシアトルで起業して自らこの大きな課題を解決しようと決意したダンは、アマゾンからスピンアウトして航空便システムを手掛けるスタートアップを興していたケン・リーと合流しCOO(チーフ・オペレーティング・オフィサー)となって貰い、マイクロソフトで開発経験のあるトミー・ステフェンソンを招きCTOとした。

 ダンに話を聞いていると「当社は決して既存のシステムをディスラプトするサービスではありません」と語る。彼はユーザー企業が既存のシステムをすぐに捨てられないことをよく理解していて、それを支援し補完するシステムとしてクラウドでダッシュボードを提供している。現在アメリカン航空など世界規模の運輸業者や、位置情報や気象情報サービス業者とも契約し、供給されるビッグデータを活用しながらシステムの精度をチューニングしている最中でもある。

 9月に来日したダンは自動車、流通、エレクトロニクス関連の日本企業を精力的に回り高い関心を得た。早ければ2017年中に同社初の海外市場である日本での拠点開設を目指しており、そうなればまたシアトル発のグローバル企業がもう一社誕生することになる。グローバトムのイノベーションが、また日米を結ぶ懸け橋の一つになるだろうし、ケンの古巣のアマゾンに採用される日も来るかもしれない。

  
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