シビリアン・コントロールに逆行
しかしトランプ氏が政権の中枢に将軍らを就けようとしていることに対して、「シビリアン・コントロール(文民統制)に逆行するもの」との懸念の声も高まりつつある。専門家の1人は「大統領と国防長官は軍の指揮命令系統の中心的な2人。2人が民間人でなければ、シビリアン・コントロールという原則が崩れる恐れがある」と指摘している。
また将軍らが政権の重要な地位に就くことで、外交政策の中に軍事色が必要以上に入り込んでしまうという心配もあり、「将軍らが文民政権の指導部を担うことは議論に価する」(米軍元司令官)という声もある。
22日付けのワシントン・ポスト紙はサウスカロライナ州のニッキ・ハーリー知事が閣僚ポストである次期国連大使に任命された、と報じた。同知事は女性で、インド人移民の娘であり、トランプ氏はマイノリティも尊重していることを示したかったのかもしれない。
ニューヨーク・タイムズによると、トランプ氏は共和党の大統領候補指名争いに立候補していた黒人の元神経外科医ベン・カーソン氏を住宅都市開発長官に指名する人事を固めたとされ、実現すれば初の黒人の入閣となる。
いずれにせよ、次期政権人事の焦点は国務、国防長官の両ポストだ。国防長官にはマティス将軍が有力としても、国務長官人事は予想が付かない。ネオコンのボルトン元国連大使、ジュリアーニ元ニューヨーク市長、ロムニー元共和党大統領候補、海兵隊出身のケリー退役将軍、ジム・タレント元上院議員ら名前の挙がっている候補者の1人が選ばれるのかどうか。トランプ外交を担う人物の選任だけに世界が注視している。
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