2024年4月27日(土)

赤坂英一の野球丸

2016年12月7日

 11月28日に表彰式が行われたパ・リーグ最優秀選手(MVP)の投票結果が、ネット上でプロ野球ファンの物議を醸している。日本ハムの〝二刀流〟大谷翔平が選出された結果自体は当然としても、残念ながら満票に僅か1票だけ足らなかった。その1票が同じ日本ハムのリリーフ投手・宮西尚生に投じられていたことに、「理由がわからない」「見識を疑う」と批判の声が上がっているのだ。

254票中253票が大谷を1位

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 MVPは日本新聞協会の運動記者クラブに加盟する新聞社・通信社・放送局で5年以上の取材経験を持つプロ野球担当記者が、日本シリーズの開幕までに投票して決められる。このとき、ベストナインと最優秀新人(新人王)も同時に投票する。投票用紙に書くのはベストナインが各ポジションにひとりずつ、新人王も両リーグひとりずつだが、MVPは3人まで連記することができ、1位5点、2位3点、3位1点で合計が最も高かった選手がMVPに選出される。今回はパの有効投票数254票中253票が大谷を1位としているのに、1票だけ1位を宮西としていた。これがファンの間で問題視されているのである。

 過去、満票での選出は1959年の南海・杉浦忠、65年の同・野村克也、それにまだ記憶に新しい2013年の楽天・田中将大(現ニューヨーク・ヤンキース)の3人のみ。大谷が満票を獲得すれば史上4人目の快挙となるところだっただけに、首をひねるファンが多いのも無理からぬところだろう。が、「この記者は何を考えてるんだ」「ふざけるな」といった罵詈雑言を浴びせるのもどうかと思う。

 宮西は1年目の08年から中継ぎ一本で9年連続50試合以上登板し、プロ野球歴代2位の通算256ホールドポイント(HP)をマーク。今季はリーグ最多、自己最多タイの42HPを挙げ、初のタイトルとなる最優秀中継ぎ投手にも輝いた。非常に貢献度の高い選手であることは確かで、MVP投票でも2位票、3位票と合わせて41点を獲得している。私は大谷に1位票を入れたが、「自分のようにひとりぐらい宮西に投票する記者がいてもいいじゃないか」と考えた記者がいても、責める気にはなれない(その記者が誰かは知らず、本人に意図を確かめたわけでもないが)。


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