2022年8月11日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2016年12月15日

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 中国が決して国として認めない台湾の総統をまさしく「総統」と呼んで、「経済、政治、安全保障での緊密関係」を確認し合ったとは、それはもはや国家間首脳同士の会談以外の何ものでもない。中国が米中関係の「基本原則」としている「一つの中国」は、このように骨抜きにされたのである。

 言ってみればトランプ氏は当選以来、アジアの同盟国や周辺国との関係強化を図り、習政権の外堀を一つずつ埋めた上で、今度は一気に、中国が対米外交と国際戦略において死守してきた「台湾問題」という本丸に攻め込んでいった、ということである。

対決姿勢を強めるトランプ氏

 そしてその日以来、トランプ氏は中国との対決姿勢をよりいっそう鮮明なものにしていく。

 12月4日、ツイッターに「中国は南シナ海の真ん中に巨大な軍事施設を建設していいかと尋ねたか。私はそうは思わない!」と記し、南シナ海で中国が進める軍事拠点化の動きを批判した。

 中国の通商政策に関しても、「米企業の競争を困難にする通貨の切り下げや、中国向けの米国製品に重い課税をしていいかと尋ねたか」と書き込んだ。

 12月7日、トランプ氏は、真珠湾攻撃75周年に当たって談話を発表した。その中で彼は「米国の敵は75年間で変わったが、平和の追求には、勝利に代わるものはない」と訴えた。このタイミングでのこの発言は実に興味深いものであった。

 真珠湾から75年、米国にとっての敵は当時の大日本帝国から別の国に変わったと彼が言っているが、その別の国はどこの国なのか。現実的に、今の世界でアメリカの敵国となり得る国力、軍事力を持つのはロシアと中国であろうが、プーチン大統領との関係改善を急ぐトランプ氏にとってロシアは当然敵ではない。ならば、彼の意識の中にある「新しい敵」はまさに中国のことではないか。こうして見れば、「平和の追求には勝利に変わるものはない」という言葉は、中国に対する「宣戦布告」の意味合いを帯びてくるのである。

 そしてトランプ氏は12月11日放送のFOXテレビの番組で、中国大陸と台湾がともに「中国」に属するという「一つの中国」原則について「なぜ我々が縛られなければならないのか」と疑問を呈した。37年間、米中関係の基礎となってきた同原則の見直しの可能性を示唆した。

 その中で彼はさらに、中国は為替操作などで米国に不利益を与えていると批判し、南シナ海に大規模な軍事施設を建設すべきではなく、北朝鮮への対応も不十分だと指摘した。

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