世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年12月26日

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 自由・民主主義という理念を振りかざし、権威主義・専制主義体制の国でレジーム・チェンジをはかってきたネオコンにとっては、これからは冬の時代になります。セッションズ上院議員等、トランプ政権の主柱となる者達は、軍備拡張こそ説くものの、ネオコン的アプローチは無用の紛争を生むのみとして、これを採らない姿勢を明確にしているからです。世界は理念と同盟よりも、利益と合従連衡が前面に出た時期に入るのでしょう。

 米国が自己優先になるのは、トランプ政権が初めてではありません。当たり前の話ですが、歴代いずれの政権にも自己優先的なところはあり、欧州、アジアの米軍を大幅に削減するとともにドルを一方的に金価格から切り離したニクソン政権、国内経済問題の解決を最大の課題に掲げて当選、極端な日本叩きに出たクリントン政権などはその最たるものです。

日本はどうすべきか?

 日本のメディアでは、「米国は自己優先になるので、日本は米国から「独立」するべきである」といった論調が盛んになっています。しかし、そのような黒か白かのアプローチは取るべきではありません。今の自衛隊では、とても日本を防衛しきれません。そして、同盟の相手としては米国が最良です。

 トランプは米国のビジネスマンによく見られるように、価値観がどうこう、同盟がどうこうより、取引、駆け引きを他国に仕掛けているのです。米国のビジネスマンは、何かを得るためには代償を払う必要があることをよく理解しています。最初の一発でこちらがキレて、同盟は止めたというのは下策です。張り返すのも一手ですが、トランプを公開の場で侮辱すると取り返しがつきません。トランプの最初の一発はうまくいなして、別の収拾案を提示するとともに、こちらとしてトランプから得たいものも提示するのが上策でしょう。

 日米安保の場合、既に多額に上っている思いやり予算を少しばかり増額して見せても、それは姑息で卑屈な印象を与えるだけで、むしろ、米国兵器購入の大幅増額(巡航ミサイル、戦闘機F-22、AWACS等、日本の防衛能力を向上させるために必要なものは多い)を提示する等した方が、相手側にも前向きに受け取られることになるでしょう。そして、日本が占領されていた時代を引きずっている数々の不公平(たとえば航空空域管制を米軍に大きく取られている)を是正するべく、日本の「ギブ」の増大に見合った「テイク」も考えていくべきでしょう。

  
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