2023年2月4日(土)

オトナの教養 週末の一冊

2016年12月23日

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東嶋和子 (とうじま・わこ)

科学ジャーナリスト・筑波大学非常勤講師

元読売新聞科学部記者。フリーランスで環境・エネルギー、医療、生命科学、科学技術分野を中心に、科学と社会のかかわりを取材。主著に『名医が答える「55歳からの健康力」』(文藝春秋)、『人体再生に挑む』(講談社)など。新著に『水も過ぎれば毒になる 新・養生訓』(文春文庫)

これまで見ていなかった「自然の半分」

 生命の系譜をさかのぼると、ある時、ほかの微生物に捕食された微生物細胞が、捕食者と共生関係を築くことで生きのびた。この共生を出発点に、複雑な多細胞生物への合体と組み立てが繰り返されてきたことがわかってきた。

 <微生物が手を組んで多細胞生物を生み出して以来、全面的な対立と同じくらいに協力と順応が、微生物と植物と動物の関係を形成した。くり返し、生命の樹が大きくなるにつれて、逆境の中で関係が生まれ、必要に応じて加えられた。顕微鏡下の世界がこれほどまでに協力的な場所だとは――また、証拠のいくらかはまさにわれわれの体内に隠されていようとは――ダーウィンは想像もしなかっただろう。私たちは、遺伝子の三分の一以上を細菌、古細菌、ウイルスから受け継いだのだ。>

 <微生物の共生がありふれたものであり、不可欠なものでもあることを認識することは、自分と自然の隠れた半分との関係の見方を作り直すことだ。>

 そう著者らが語るように、私たちは自身の健康のため腸内細菌に向けた視線を、植物へ、土へ、そして生命の樹全体へと大きく広げ、これまで見ていなかった「自然の半分」を、しかと目を開けて注視し、理解しなくてはならない。

 本書は、そのきっかけとなるに違いない。

  
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