――子どもにとっては当たり前だけれど大人はそうではないのはどんな使い方でしょう?親が知らないうちに子どもが多額の課金をしてしまって……というようなケースをよく聞くように思います。
石川:新聞などではよく「親のクレジットカード番号を子どもが勝手に入力して後で親が請求書を見てびっくり」というような例がありますが、私の取材例ではそういうケースってほとんどないんです。多いのは、親や祖父母からもらったお小遣いを貯めていると思っていたら、ウェブマネー(電子マネー)に使っていたというケース。親はウェブマネーを利用したことがなかったり、目に見える物を買っているわけではないから使っていることに気付かないんですね。
――Suicaは使ったことがあっても、ゲームの課金に使ったことはない大人は多いでしょうね。
石川:ゲームだけではなく、たとえばamazonのショッピングに使うとか汎用性があるんですね。ウェブ上で使うお金を稼ぐ方法もあって、たとえばポイントサイトと呼ばれるようなサイトに無料で会員登録をすると、1回CM動画を見ると20ポイントもらえる。アンケートに答えたら100ポイントとかね。そのポイントがある程度貯まると、amazonのギフト券とかiTunesカードに交換できるんです。
――ちょっとしたお小遣い稼ぎになる。
石川:それもギフトカードが物品として送られてくるわけではない。ギフトコードが送られてきて、それをコピペしてサイト上で入力すれば好きなように使える。要は現金が動かないんです。スマホでポイントを稼いでそのポイントをスマホ上で換金してスマホ上で消費するっていう流れができているんですね。その流れを親が把握しづらい。
男子中学生がオンラインゲームをやめられなかった理由は
「大人から頼られたから」
――そこに金銭的な損失はないけれど、石川さんが懸念されているのは時間の消費についてですね。
石川:その通りです。ゲームが楽しいからやり続けてしまうし、ポイントを稼ぐためには何時間もやり続けないといけない。友達を紹介するとポイントがもらえる仕組みがあるので、子どもがシステムの中に取り込まれやすい。もともと日本は同調圧力が強いので、友達がみんなやっていると断りづらい。
お金の被害はある意味わかりやすいです。でも時間の消費は、何をやっているかわからないし影響が目に見えづらいですね。気付いたら10代の2年、3年を棒に振っていたっていう……。先述の調査では、男子高生の約8割、女子高生の約7割がネット上でお小遣い稼ぎをしたことがあると答え、その金額は月に9000円~1万1000円とされています。