『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』(メタモル出版)の著者は全部で13人。医師や看護師、大学教授、ジャーナリストなど、医療や教育の専門家たちが、自分たちの専門領域から「知っておきたいこと」を平易な言葉で伝えている。2016年の今、ネットの情報は玉石混交だ。インターネットは便利で誰でも情報を発信できる。平等であるがゆえに、専門家の言葉も匿名の一般人のブログも、同じように検索でヒットする。場合によっては、専門家の言葉が軽んじられ、根拠のない妄言が瞬く間に拡散されていくこともある。子育てについての情報も例外ではなく、間違った情報があるばかりか、中には有害で危険な情報さえ混じっている。このことに真っ向から警鐘を鳴らしたのが本書だ。執筆者の一人、産婦人科医の宋美玄さんと編集担当者にお話を聞いた。
産婦人科専門医、医学博士。1976年、兵庫県神戸市生まれ。臨床医を務めるかたわら、テレビや雑誌などで妊娠、出産、性などについての啓もう活動を行っている。『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK』(メタモル出版)など著書多数。
BLOG:オンナの健康ラボ http://ameblo.jp/son-mihyon/
インターネット上に蔓延する適当な育児情報
――宋先生は本書で育児についてと、「はじめに」の文章を書いてらっしゃいます。「はじめに」を読んだとき、宋先生の怒りのようなものをとても感じました。※「はじめに」はウェブ上にもアップされている。全文はこちら
宋:そうなんですよ(笑)。
――特に「一億総姑現象」という言葉が面白かったです。子育てについては正しいと思い込んで「こうしなよ、これがいいよ」とアドバイスする人が多いけれど、それが間違っている場合もあるという。
宋:子ども生んだ瞬間に全員母っていうレッテルを貼られ、アドバイスを受けないといけない立場になるとか、おかしいですよね。しかも、離乳食の開始は遅らせたほうがいいとか、食べたものが母乳に出るから卵とか小麦粉とかアレルゲンは食べないほうがいいとか間違ったアドバイスをする人がとても多いんです。
――宋先生はツイッターでも頻繁に情報発信されていらっしゃるので、ネット上での間違った情報もたくさん目にしていらっしゃるのかな、と。
宋:私が見るというのもありますが、患者さんから質問があります。何かの症状があったときにネットで調べる方が多いんですね。(体に変調があって)調べたら「こういう病気が考えられます」という情報がヒットするので、それに囚われちゃう。妊娠するとやっぱりみんなネットで検索するみたいですね。