世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年1月24日

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 ポーランド国内では、政権の政策に反対する大規模なデモが発生しています。また欧州委員会のTimmermans第一副委員長は、「法と正義の党」の動きは「ポーランドにおける法の支配への重大な挑戦」であると厳しく非難しています。

西側の尺度で測るのは適当ではない

 確かに「法と正義の党」政権の動きは懸念されますが、ポーランドはかつて共産主義から民主主義への移行の優等生だったとはいえ、民主主義の経験はそんなに長くありません。民主主義の旗印を高く掲げるニューヨーク・タイムズ紙から見れば、ポーランド政治の危機と映るのは当然でしょうが、西側の尺度で測るのは必ずしも適当とは思われません。

 ポーランドの重要性は、地政学的なものです。「法と正義の党」が従来の移民政策に批判的であることが指摘されますが、従来の移民政策に批判的なのはポーランドに限りません。また、ポーランド人自身、EUの多くの国に移住している人が多く、本気で移民政策を変更しようとするとは考えられません。

 ポーランドは輸出の75%を、輸入の60%をEUに頼っていて、EUのメンバーであることはポーランドに大きな利益をもたらしています。またポーランドは歴史的にロシアに対する警戒心が強いうえに、最近のプーチンの動きに神経をとがらせています。NATOのメンバーであることはポーランドの安全保障の根幹です。一昨年7月NATOはワルシャワで開催された首脳会議で、軍事的圧力を強めるロシアに対する抑止力の強化策として、2017年よりバルト3国とポーランドに4000人規模の多国籍部隊を展開することを決定し、ポーランドはこれを歓迎しました。

 ポーランドは、内政面で懸念すべき動きはあるものの、EUとNATOのメンバーであることに死活的利益を見出していることは明らかであり、ポーランド情勢はこの重要性を踏まえて判断すべきです。

  
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