世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年2月2日

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 対ロ関係のあり方について、バランスのとれた良い論説です。人目を驚かすような論点の提示はありませんが、落ち着いたよく考えられた論説であり、我々にも示唆を与えてくれます。個人的に良好な関係が持ちうる意味、ロシアにとっての中ロ関係の重要性、ウクライナ問題の重要性の指摘など、的を射ています。ウクライナについて言えば、1991年にソ連が崩壊した直接の原因は、ウクライナが国民投票でソ連からの独立を同年12月に決めたためです。

 米国の対ロ政策はトランプがかなり大きな不確定要因ですが、大方ここに表明されているような政策に落ち着くのではないかと考えられます。

トランプ・プーチンの蜜月は長続きしない

 トランプ・プーチンの蜜月関係がトランプ大統領の就任後、喧伝されると思われますが、米ロ双方ともに、ナショナリズムに訴える自国優先政策をとってくるので、衝突もあり得ます。トランプ・プーチンの蜜月関係は長続きしないように思われます。

 プーチンは2018年も大統領選挙で勝利することを一番重視しており、外部に敵を作り国内での弾圧を正当化する必要があります。トランプはシェールガスやオイルへの規制を弱めるとしており、これはロシア財政の命綱を弱くすることにつながります。プーチンとトランプの個人益が衝突する可能性がありますし、米ロの国益は一致よりも衝突する面が多いことがだんだんに明らかになると思われます。背景は判然としませんが、トランプは対ロ強硬派のコーツを国家情報長官に任命したりもしています。

 ロシア人を過小評価するのは禁物ですが、プーチンについては、ロシアを衰退させている指導者であるように見えます。ロシアのGDPは韓国以下です。エネルギー資源のみに依存する経済の改革は、その必要が指摘されて久しいですが、利権構造上それができずにいます。優秀な若者が、自由もなく教育も医療も貧弱なロシアに愛想をつかし、移住しています。プーチンは自己の独裁的権力を作り上げるために、利権に基づく権力構造を作るうえでは、類まれなる能力を発揮しましたが、国家指導者としては、国際的に論議のあるクリミア併合くらいしか、誇れる実績がありません。

  
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