鳩山政権が普天間問題で揺れています。すでに多くのメディアがこの問題を報じていますから、詳細には触れませんが、4月27日に下った検察審査会の議決に対する小沢一郎・民主党幹事長の反応といい、5月4日の鳩山由紀夫首相の沖縄訪問といい、あまりの政治の混迷に愕然とし、何も自分の意見を語る気がしない、識者の話もメディアの情報も見る気がしない、という人が急増しているようです。
私は決して民主党の応援団ではありませんが、長く続いた自民党政治が終わり、昨年の衆議院選挙でともかく「変わった」ことは、日本の将来の二大政党化にとっていいことではないかと、かなり期待していました。ところが、自民党もさることながら、民主党のこの期待外れな有り様を、見通せなかった我が身を大いに恥じ、自分の力のなさ(何が足りなかったかも分析できないのですが)自体に、切歯扼腕(せっしやくわん)しています。情けない限りです。
一方海外では、ギリシャの信用不安と、それを引き金にした欧州発の市場の動揺が収まる気配がありません。NY株、日経平均も大きなダメージを受けています。5月6日の日経新聞夕刊3面には、フレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)が約1兆円の債務超過に陥り公的資金による支援を求めていることが報じられました。つい先日まで、2008年9月のリーマンショック以来の不況から世界中が脱しつつあるといった楽観的な報道が相次いでいましたが、世界経済にまたも恐ろしい影が押し寄せているような気がしてなりません。私は、自己規律0(ゼロ)で自由10の現代金融資本主義の大欠陥が原因だと考えます。
押し黙る閣僚たち
この内外政の危機に、鳩山政権の閣僚たちはどう対処していこうと考えているのでしょうか。全員がただ押し黙っているだけのようです。
なかでも、このコラムで注目し続けてきた、亀井静香金融・郵政担当相には、(1)金融大臣として、(2)郵政大臣として、(3)混迷深める民主党と連立を組む国民新党の代表として、(4)国会議員として、そして(5)一(いち)国民として、どのような考えを持ち、何を実行していこうとしているのか、率直なところを聞いてみたい、というのが私の気持ちです。
4月28日の朝日新聞には、小沢氏への検察審査会の議決に対する亀井静香国民新党代表のコメントがありました。
「花も嵐も乗り越えて、鳩山政権は国家と国民のために突き進む」
政権きってのベテラン政治家らしい、はぐらかし方です。最近の亀井君はそれまでとはうって変わっておとなしくなったように感じられます。まともに言及すると損をするとみて、ここは静かにしておき、波風が治まるのを待つという作戦なのかもしれません。
同じ日の朝日新聞17面には、1面近いスペースを割いた、亀井静香大臣へのロングインタビューが掲載されています。「連立揺さぶる狙いは――」そう題したこのインタビューの聞き手、編集委員の薬師寺克之さんの書きぶりがとても面白いのでご紹介します。