2024年4月17日(水)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2017年2月21日

トランプは統合者に成り得るのか

 超大国米国の大統領のビジョンは、理想的ではありますが米国社会に加えて世界の統合並びに融合です。にもかかわらず、トランプ大統領は、国内で偽ニュースやもう一つの真実という禁じ手を使い、有権者の認識を歪めています。

 前回の「火中の栗を拾った安倍首相」で指摘しましたように、トランプ大統領の例のイスラム圏7カ国からの入国一時禁止に関する大統領令は、内政問題のみならずグローバルな争点になっています。今後、分断により支持固めをする戦略を変更しない限り、「一つの米国」及び「一つの世界」にすることは不可能でしょう。

 政策に加えて、トランプ大統領の思考様式にも問題が存在します。同大統領は、ロシアとの関係が改善すれば両国にとって良いと「ウィンウィン」を強調していますが、上の大統領令、メキシコ政府に対する言動並びに通商における2国間協定に固執する姿勢は、「ウィン(同大統領)ルーズ(イスラム教徒・交渉相手国)」です。「ウィンルーズ」が支配的な思考様式を備えた同大統領は、統合者ないし融合者には成り得ない可能性がかなり高いと言えます。仮に成ったとしても、人種、民族及び宗教における文化的多様性を否定するトランプ信者からの支持を失うという結末になるのです。

  
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