2022年9月26日(月)

オトナの教養 週末の一冊

2017年3月10日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――他には何がありますか?

水島:一番重要なことは、ポピュリズムは伝統的な右派や左派ではなく「下」からの政治運動であるという点です。つまり、既存のエリートやエスタブリッシュメントへの「下」からの強い反発です。

 この「下」からの強い反発は、先進国では「エリートは難民や移民に寛容だ」「マイノリティと結託したリベラルなエリートこそが我が国を衰退させている」という意識につながっていく。だからこそ「支配しているエリートから国を奪い返す」という主張と、反移民の主張とがつながるのです。

 また、「下」からの反発や、既成政党の弱体化だけでなく、エリート層やエスタブリッシュメントが推し進めるグローバル化やヨーロッパ統合による産業構造の空洞化などの「痛み」を押し付けられ、自分たちは見捨てられていると感じる人々の存在、さらに職はあるけれどもこうした変化や移民に対する違和感を抱いている人々の存在も大きいのです。

 例えば、イギリスのEU離脱キャンペーンの中心人物であるファラージが党首を務めたイギリス独立党の躍進を支えていると指摘されるのが「置き去りにされた」人々の存在です。彼らは端的に言えば、低学歴の白人労働者階級で、現在の高学歴で専門職に従事していることの多い若者との間に社会的分断がありました。

 同じくアメリカ大統領選挙においても、トランプに投票した人の大部分は従来の共和党支持層だったとはいえ、今回、中西部から北東部へ広がる旧工業地帯であるラストべルトと呼ばれる地域に住む人々が大統領選の勝利の鍵を握っていました。

 イギリスでもアメリカでも第2次産業から第3次産業への産業構造の転換に乗り切れず、衰退した地域の人たちがポピュリズムの支持にまわっているのです。

――トランプ大統領は、世間ではポピュリストと評されています。しかし、2大政党が圧倒的なアメリカにおいて、新にポピュリズム政党を結党し出馬したわけではなく、共和党選出です。彼はポピュリストと見て良いのでしょうか?

水島:トランプ大統領は、ポピュリストであると思いますね。

 確かに、ヨーロッパのポピュリズム政党である国民戦線を率いるマリーヌ・ルペンや、オランダ自由党を率いるウィルデルス党首のように、自らがポピュリズム政党のリーダーとして一世を風靡しているわけではありませんし、既成政党を打ち破り、大統領になったわけでもありません。

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