2022年10月7日(金)

オトナの教養 週末の一冊

2017年3月10日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

 ただ、アメリカの場合、2大政党に比べ、第3党が力を持ちづらい状況がありますし、ヨーロッパや日本とは政党組織が違います。端的に言えば、アメリカでは党員は党費を払って党活動を行う意識の高いメンバーではなく、政党そのものが日本やヨーロッパほどガッチリとした組織ではないんです。だからこそ、アメリカの2大政党には柔軟性や幅広さがあり、150年間の長きに渡って2大政党制を維持できた。こうした緩やかな構造の政党である場合、ポピュリズム的な動きは党外よりも、党内から出てくる傾向が強いんです。そう考えると、トランプ大統領が共和党の大統領候補として出てきたこと自体はポピュリズムに反するものではありません。

 むしろ見なければいけないのは、トランプが共和党内のエスタブリッシュメントを全面的に批判することで、アウトサイダーとして大統領候補選で勝ち上がったことです。そして大統領選では、ヒラリー・クリントンを既成のエスタブリッシュメントと位置づけ、「下」から批判し勝利したことは、先ほどお話したポピュリズムの特徴を表しています。

 しかしだからといって、富豪であるトランプが本当にラストベルトに代表されるような労働者階級の味方かと言われれば何とも言えないですね。実際には、金融規制緩和といった富裕層にメリットがある政策を行っているわけですからね。

――トランプが閣僚に指名した人物には、大手企業の幹部が名を連ねています。選挙期間中に、トランプはウォールストリートを批判していたのに、現実にはつながっていますね。

水島:ウォールストリート批判を繰り返しながらも、実際にはかなり依存しているのが実態だと思います。しかし、良くも悪くもイスラム系の国々からの入国禁止など、移民難民に対する強力な規制は妥協せずに実行している。そういう意味では、断固たるポピュリストリーダー的な面もありますね。

――ヨーロッパに目を向けると、今年5月にフランスでは大統領選があります。マリーヌ・ルペン率いる国民戦線は躍進するでしょうか?

水島:ルペンが大統領選に勝利する可能性は低いと思います。ただ、かつて父親のジャンマリ・ルペンが、大統領選の決選投票での得票率で2割を超えることができませんでしたが、今回決選投票で仮に3割の票を獲得出来れば国民戦線にとって大きいのではないでしょうか。

――現在の国民戦線はかつてほど排外的な極右ではないのでしょうか?

水島:移民に対しては排外的ですが、何をもって排外的か、極右か、と言うかによります。例えば、暴力で議会制デモクラシーを破壊するということを極右とするならば、現在は極右ではありません。

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