2024年11月22日(金)

田部康喜のTV読本

2017年3月8日

 今回のドラマにおいても、事件の進展に応じた瞬間、瞬間の表情の変化が天性のものを感じさせる。事件の内容を知るために、刑事の外河(小出)から警察手帳をスリのように奪うのが「お約束」である。

 手帳をスリとった瞬間の「やった!」という表情、外河の捜査メモから事件を解き始める真剣な表情……。犯人を言い当てる前に、外河に向かって指を突きつけて「つまり……」と名探偵きどりの表情もまた「お約束」である。

 瞳は庶務係の仕事を通じて、刑事部長の高倉峻(大和田伸也)にも敬遠される立場にある。高倉の公用車の運行記録を確認して、特定の曜日に六本木に立ち寄ることを知る。廊下で高倉とすれ違いざまに、瞳は「今日も六本木の愛人のところですか?」と。それ以来、高倉は瞳のいうことなら聞くようになり、エレベーターの入り口で先を譲る。

事件モノの「お約束」

 微笑を誘う小ネタをちりばめながら、ドラマは事件を解き明かしていく。事件モノの「お約束」で毎回ゲストを迎える。

 「赤の章・第2回」の「警視庁庶務係ヒトミの大予言」(3月8日)は、占い師の祥子に釈由美子。国会議員の秘書が殺害されるのを予言したという。祥子は個人的な悩みなどを予言することで知られていた。

 瞳は外河と祥子のもとを訪れて、個人的な悩みを知るのは待合室に隠されたマイクであることを暴いてみせる。

 容疑者は国会議員の元後援会長の建設会社社長だった。不正経理を理由にして会長を退かされた、というのが表面的な理由だった。しかし、この建設会社が計画していた大規模開発に殺された秘書が反対をしていたことが原因ではないか、と瞳は推理する。

 捜査の途中で、占い師の祥子が瞳の前に現れて、父親が詐欺師であり刑事になることを志していながら、親族に犯罪者がいるので断念したことを言い当てる。

 瞳は外河と一緒に建設会社の開発地を訪れた時に、荷物を預かられたことを思い出す。その時に父のメモを読まれたのだ。この事実を突きつけて、建設会社社長に迫る瞳。鉄パイプで殺されそうになる。その時、外河が社長を取り押さえる。

 「危ないじゃないか。ひとりで来ては」という外河に、瞳は「あなたが近くにいるのはわかっていた」と平然と答える。


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