2024年4月25日(木)

田部康喜のTV読本

2017年1月18日

 私立女子高の英語教師である早瀬美月(25歳・波瑠)は、自宅の新築を請け負っている工務店の現場監督・松島太一(柳楽優弥)と、母の勧めからデートをする。太一が好きな写真家の展覧会を見て回っているうちに、額のガラスに会場の2階からふたりを見張るようにしている母親の顕子(あきこ・斉藤由貴)に気づく。

 恐ろしいものを見たように不安にとりつかれた、美月は太一の手を握りしめるのだった。

 NHKドラマ10「お母さん、娘をやめてもいいですか?」の第1回(1月13日)の「危険な蜜月」のラストシーンである。

幸せそうな家族が抱えるさまざまな問題

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 美月は母の顕子と、サラリーマンの父の浩司(寺脇康文)とマンションで3人暮らしである。一家はいま、浩司の実家があった土地に新居を建設中である。

 顕子は人形づくりの趣味をするかたわら、パートにもでている。一家はどこにでもあるような幸せな家族のようにみえる。

 ドラマの冒頭は、美月が出勤の身支度を整える鏡の前で、ちょっと頭に手をやって内心つぶやくシーンで始まる。

 「髪の毛に隠れているが10円玉ぐらいのハゲがある。でも、これは母にはいえない」と。

 いわゆる神経性の脱毛症である。

 学校の先輩教師とのデートを尾行する、母の顕子の姿がある。水族館のイルカの水槽の前で、スマートフォンで自撮りをするふたり。美月はちょっと逃げ腰である。

 「三カ月も付き合っているのに、君はかたいね。僕は真剣なのに」

 「三回しかデートしていませんし。もう会うのは止めましょう。学校ではこれまで通りによろしくお願いします」と美月。

 彼と別れると、美月はラインで顕子に報告する。

 「やっぱりお母さんの言うとおりで、やめることにした」

 「よかったわ」と顕子。

 背中をお互いに向けあっているのと、スマートフォンに目をやっているので、美月は気づかないが、顕子は通路のすぐそばにいる。


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