ダイバーシティーを理解する
これぐらいで驚いてはいけない。現ロンドン市長はイスラム教徒だ。両親がパキスタンからの移民であり、ロンドンの二階建てバスを運転していたようだ。
ロンドンといえば、フランスの6番目の大都市だというジョークがある。30万人以上のフランス人が住んでいる都市は、フランスに五つしかないので、こんな話になるのだ。フランス人だけが突出しているのではなく、まんべんなく外人が多いのだ。結果としてロンドン市民の40%が正規の移民だそうで、”voyageur comme ça”(ぶらり旅人)まで入れれば大変な数となろう。鉄道でつながっているからではなく、とにかく国際都市なのだ。
昨年当選した、このサディック・カーン市長はイスラム教徒という点を除けば、シティーにいる普通のビジネスマンの風体だが、敢えて彼を市長に選ぶ風土を理解するには少し時間がかかるかも知れない。
ダイバーシティーは成長の源泉だという言葉もある。その伝でいうと、女性のトップを選んだ東京も捨てたものではないと思うが、パリやロンドンのレベルにはすぐには到達しないことであろう。
その一方、住民レベルで、ダイバーシティーがなんたるかを理解するには、さらに紆余曲折が待ち受けているに違いない。男装した女性で、心は男性かもしれない人のトイレをどうするかは海外では既に切実な問題のようだ。そんな点もいまのところノーケアーのようだ。
といったところで名門日本女子大がこの問題に関する入学基準を緩和するとのニュースがあった。
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