2024年4月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年4月13日

 この社説は有用な警告だと思います。バルト諸国も危険に向き合っていますが、西バルカンはロシアの裏面工作、浸透工作といった違った種類の脅威に非常に脆弱なのだろうと思われます。この社説が言及している個々の出来事については詳らかにしていませんが、最近この地域を訪問したEUのモゲリーニ上級代表は地域の不安定性とそれが民族紛争に発展する危険性に大きな懸念を抱いたと報じられています。

 バルカン諸国のEU加盟の可能性と米国の関与という2つの安定の柱が失われた状況にロシアが付け入っているという指摘はその通りだろうと思います。世界的に見てもこの地域に対する関心が低下しています。

 3月9日のEU27の非公式首脳会合は西バルカン情勢を取り上げましたが、トゥスク大統領は「地域を不安定化させようと試みる内部および外部の勢力が存在することは明らかだ」と述べ、EUは今後も地域を支援していくと述べました。EUとしては、米国を引き込む努力をすべきですが、この問題は欧州の安全保障に係る近隣の問題であり、EUが外交努力を集中して然るべき問題だと思います。

  
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