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2017年4月18日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

長生きするほど受取金額が増える

 昨年4月に人生100年時代に合わせて、長生きするほど大きな年金額を受け取ることができる新しいコンセプトで長寿生存保険「GranAge(グランエイジ)」を発売したのが日本生命だ。男性は3人に1人が87歳まで、女性は92歳まで生きる。さらに男性は5人に1人が90歳まで、女性は95歳まで生きる時代になっている。このため、長いセカンドライフのために十分な終身年金を準備できる保険が必要だとの考え方から発売したという。

 この商品は、年金開始前に死亡した場合の支払金額を、累計の保険料よりも抑えることで、その分長生きした場合に受け取れる年金額を大きくするのが特徴だ。イタリア人のロレンツォ・トンティが考案した保険制度に由来するもので、国内の生保では初めての導入となる。従来の死亡時に高額の保険金を受け取るという死亡保険の考え方を転換して、長い老後が続いても、長生きすればするほど受け取れる年金額が大きくなるように設計した。

 年金を早く受け取りたい人には契約年齢によっては3年や5年でも受け取れる。反対に、年金開始時期を遅らせることで返戻率をアップさせることができるなど、契約者の希望に合わせた加入方法を選択できる。昨年4月の発売以来、契約件数は3万5千件件を超え、日本生命の田中聡取締役は「『GranAge』は時代を先取りした商品だ。高齢化や長寿化、少子化などの課題が大きくなっているので、こうした社会的要請や顧客ニーズに応えられる商品を提供していきたい」と話す。

シニア向けに高利回り商品

 一方で、運用面では超低金利傾向が続いているため保険各社は運用益を確保することが難しく、一時払い養老保険といった1990年前後のバブル期に流行った高利回りを期待する商品の発売は苦しくなっている。今後伸びるとみられているシニアマーケット向けには各社とも少しでも高いリターンが見込める商品を出そうとしている。

 日本生命はマイナス金利政策による低金利の影響を受けて、銀行の窓口で販売する円建て終身保険を販売停止している。その中で、銀行窓販領域で外貨建て商品のラインアップの拡充に取り組み、外国の国債での運用に加え、利回りの高い社債などにも投資し、高い利回りの確保を目指している。外貨建て商品の販売件数はシニアマーケットを中心に堅調に推移しているという。

 世界的に低金利が続く情勢の下で、為替、金利リスクなどをにらみながら、長寿化時代のシニアにとって資産価値の増加につながる魅力的な商品を出せるかどうかが課題になる。

  
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