今回は、中古車輸出業で躍進する株式会社ビィ・フォアード(本社・調布市)代表取締役社長・山川博功さんです。日本で流通する中古車を仕入れ、アフリカなどの新興国を中心に世界127の国と地域に輸出しております。顧客の6割がアフリカの43カ国に住む人たちで、ビィ・フォアード本社でも43人の外国人が働いています。
山川社長が2004年に創業し、2016年6月期の売上は431億円。ビィ・フォアードが運営する、海外向けECサイトの「BE FORWARD.JP」の月間ページビューは2014年6月時点で6000万PV。海外からも大きな注目を浴びています。
弱い方向に歩き始める姿を想像したくない
「使えない部下」という言葉に、私はネガティブな印象を持ちます。「使えない」以前に、その社員は会社の文化や職種に合っていないのだと思います。
部下が、上司のことを「使えない」と思っているならば、ずいぶんと失礼ですね。上司よりも優れているならともかく、通常は上司のほうが経験や知識が豊富でしょう。判断力も、部下よりは高いはずです。
私は大学(明治大学文学部)を卒業し、新卒として入社した会社(東京日産自動車販売)で、上司のことを「使えない」なんて思ったことはありません。1年目(1993年)からセールスの成績がよく、新人賞を受賞したのですが、上司は私よりもはるかに稼いでいました。
20年以上のキャリアの上司を追い抜かすことができない、と思ったことはありません。いずれは、全社でトップセールスマンになり、社長になるつもりでした。私が社長になったときに、上司たちが私の部下になるのですから、敵に回すのはよくないと新人の頃にすでに考えていたのです。
サラリーマンが居酒屋で、上司の愚痴をこぼしますね。あれが、大嫌い。あの空気の中にいると、自分がダメになる気がします。早めに席を外したり、店から出るようにしています。
「上司が使えない」「上司が認めてくれない」と言って、認められることはありえませんよ。「会社が悪い」と言う人もいますね。周囲の環境のせいにしている限り、上手くいくことはないと思います。不満があるならば、実績を残し、認められ、トップになればいい。なれないと思うならば、会社を変えたり、起業したりすればいい。
せっかく、人として生まれてきたんだから、上を目指さないと…。上を目指さない自分なんて、私は想像したくありません。弱い方向に歩き始める姿を想像したくない。ほんの少しでも、自分が弱い方向に向いているのが嫌いです。勝ち続けるのが、人生だと思っています。ときにはゆっくりしてもいいけど、進んでいくのは勝つ方向でないといけない。
私が学生時代、明治大のラグビー部は強かった。あの重戦車フォワードが好きでした。前へ、前へ進んでいくんですよ。監督の北島忠治さん(故人)の教えである「前へ」は、私の好きな言葉です。ビィ・フォアードという社名も、そこからつけたのです。