今回は、世界3大サーカスの「木下大サーカス」の公演をする木下サーカス株式会社の木下唯志代表取締役社長を取材した。国内・海外で大規模な公演を繰り広げる一方で、社員やアーティストの採用や育成にも力を注ぐ。木下社長にとって、上司と部下のあるべき姿とは……。
セルフィッシュな人は上手くはいきません
上司が部下のことを指して、「あいつは、使えない」などと言うべきではないでしょう。口にしなくとも、周りにいる社員はわかっているものです。そのようなことを口にしていると、逆に上司の品格が疑われますよ。
上司が社員のことを「あいつらは使えない」と言っているようでは、チームをつくることはできない。部下は、上司をよく見ているのです。
人には能力差があるし、適性もあるでしょう。そのときの感情もあります。長く勤めていると、仕事で芳しい結果が出ないときがあるかもしれません。「使えない部下」と判断され、関連会社に左遷されても、その後、結果を出して親会社に戻り、役員になる人もいます。
木下サーカスには、多くのアーティストがいます。私が彼ら彼女らの一時期の仕事だけを見て、「あのアーティストは使えない」と言うことはないですね。皆が世界トップレベルに近い技を身につけていますが、私がリハーサルを見ていて、こうしたらよくなるのにと感じることはあります。
そのとき、アーティストに直接、意見を言うこともありますが、演出家などに「どうしたら、もっとよくなるか」とよく尋ねます。アーティストは世界トップレベルですから、こちらから言うにしても、タイミングや言い方を考えないといけない。